仲直り

「だからあ!」
が3回くらい続いたところで彼女の表情が変わった。その後、いつもより素っ気なくなり、目を合わせてくれなくなった。でも、その時のぼくは忙しかったから、それを気にする余裕は無かった。
一段楽して時間ができると、状況を把握せざるを得なくなった。ぼくと彼女の関係は、明らかに変わってしまった。以前どんな関係だったか思い出せないし、今どんな関係になってしまったのかも言葉にはできないけれど、明らかに変わった、ということがわかる。
しかし、ぼくだけがそう思っている、という可能性もある。でも彼女は、いつもならぼくに言うような用事を、あんな奴に頼んでる。やっぱり前とは違う。もう変わってしまった。ほんのすぐなのに。何だ?関係って。
―――
「さっきの事だけど、やっぱりあなたに頼もうかな・・・」
「えっ、うん。良いよ」ぼくは言う。
「あの人に頼むの嫌なんだ、本当は」
「じゃあなんで頼んだの」
「だってさっき私たち喧嘩してたじゃん」
「そうか!やっぱりそうなのかあ」ぼくは笑いながら言う。「やっぱり怒ってたんだねえ」
「そっちが最初に怒ったんだよ」
「いやあ悪かったよ。でもこれで仲直りだね」
「うん。何故かわからないけど、仲直りだね」