親ばか子は?

2年前に買ったPCデスクからネジがこぼれてきた。PCと一緒に買ってもらったものだから、2年前に間違いない。
この頃は、2年くらい経ってもほとんど性能に変わりが無い、と言っていた。お父さんが、PCについて言っていたのだ。中身の大事な部分はほとんど一緒だから、新しいデザインや、新しい機能がいらないのなら、買い換える必要は無いらしい。マイナチェンジとも言っていた。要するに、もう成長の余地が無くなったから、重箱の隅をつつくように進化する段階みたい。
ぼくはどうだろう?まだ隅をつつくのは早い気がする。隅をつつく前に、新しい重箱を与えられて、それを消化するのに必死、という感じだ。隅においしいものがあったら、もったいないかもしれない。
ネジはもう何度もこぼれている。特に、キーボードをしまう棚からよくこぼれる。ここは何度も出し入れするものだから、すぐにネジがゆるくなるのだろう。でも、不思議なことに、いくつネジが外れても、まともに使える。だから、そのうち、ネジがこぼれても気にならなくなった。
最初はびっくりして、外れたネジを元に戻そうとしたものだ。でも、どこから外れたのかさっぱり分からなかった。これはぼくが組み立てたものではないから、仕方ないかもしれない。その時は、とりあえずネジを保管しておいて、いつか本格的に修理する時に備えることにした。でも、今はネジがこぼれてもその辺に投げているので、もう完全に元に戻ることは無いだろう。でも、まともに使えるなら、それにはこだわらない。こういう性格だから、新しいPCが欲しい、と思ったことは無かった。あまり関係ないだろうか。とにかく、使えれば良い、と思う。

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この間、公園で遊んでいたら、砂場の中から鉄の円盤を発見した。たぶん、車のホイールだろう。軽くて、ちょうどフリスビーのような大きさだったから、皆はそれを投げて遊びはじめた。ぼくは危ないと思って、ずいぶん離れていたけれど、運悪くそれに当たってしまった。
頭にすごい衝撃が来て、おでこから血が流れた。みんなはすごく慌てて、どうしていいか分からないようだった。ぼくはとにかく傷口を洗わなくてはならないと思ったので、水道がある場所まで行こうとした。
その時、友達の1人が、ぼくのお父さんを見つけた、と言った。大通りを歩いているところを見かけたので、そこは、ぼくらがいた場所からは、グラウンドを挟んで、かなり遠いところになる。それを聞いた時ぼくは、「呼ばないで!」と言った。
それでも友達は大通りへ向かおうとした。ぼくはもう、生れて初めて出すくらいの大声で「呼ぶな!!」と叫んだ。目から涙がぽろぽろこぼれた。おでこから血が出たときは泣かなかったのに、今お父さんにここへ来られると思うと、悲しくて、悔しくて、涙が止まらなかった。
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お父さんはぼくのことを、いじめられたと思うかもしれない。口ではそう言わないだろうけど、心のどこかでは、そう思うだろう。
お父さんはぼくを子ども扱いしすぎる。PCデスクだって、本当は、ぼく1人で組み立てられたのだ。少し時間はかかるかもしれないけれど、それに、手伝ってもらうかもしれないけれど、絶対できたはずだ。ぼくは目が見えないけれど、馬鹿ではないのだ。

そうそう、今日はとうとう、PCデスクの引出しが落下した。びっくりした。同時に、ネジが20こくらいこぼれてきたのだ。こういうのを最後っ屁、という?とりあえず修理しなくちゃだけど、かなりの難関なことは間違いない。長期戦を覚悟。助っ人も視野に入れつつ・・・。