また実家の続き

実家に数日滞在することにしたので、ひまつぶしの道具が必要になった。そこで、図書館に行き本を借りることにした。というか、実家に帰ると毎回そうして読書で暇をつぶしている。
図書館で借りた本は、馳星周『生誕祭』(上下巻)、森博嗣女王の百年密室』、桐野夏生『ダーク』の四冊だ。
この図書館は僕の実家のすぐ近く、徒歩で5分くらいの場所にあって、僕が12歳くらいの時にできた。できた当時は、家の近くにこんなに沢山の本があって、無料で借りることができるなんて、夢のようだった。今でもかなりうれしい。
僕はこの図書館のおかげで沢山の本を読むことができた。特に、馳星周花村萬月辻仁成の本をそろえてくれていたことにはかなり感謝している。この三人の本で図書館に無い分は、お金を出して集めた。これくらいのことは、読書好きや作家ファンには当たり前のことかもしれないけど、図書館にまだ読んでいない沢山の興味深い本があるのに、お金を出して本を買うというのは当時の僕(中学、高校時代)にとってはかなり思い切ったことだった。
馳星周花村萬月は今でも読むが、辻仁成は読まなくなってしまっている。僕にとって辻仁成の作品は、青春をどう生きればいいのか、という問題についてのものだったからかもしれない。

本を沢山読んだと書いたが、この図書館には読んでいない本もたくさんある。昔はそのどれらもとても魅力的に見えて、この次はあれを読もう、次はあれだ、あの数学の本で勉強をしよう、なんて思っていた。そのほとんどが、今はあまり、読む気にならない本だ。きっとこれからも読まないだろう。というか、そう思っている間はまさにその通りなのだろうが。
この図書館では、たくさんの読むはずだった本に囲まれて、僕は、少しだけ息苦しくなる。だから、借りる本だけをさっと選んですぐに帰るのだ。