警告「言い負かすことを目的にしてはいけない」

ナンセンスな質問がある。答えることができない(答えるに値しない)質問である。
某板の、
『女が性欲処理以外に何の役に立つ?』
というスレッドによる問題提起がそうだった。数レス見て、どうやらネタスレではない。本気でそういう質問をしているということである(故意犯に煽っているだけかもしれないが)。


少し考えてから、ぼくは以下のようなレスをした。

逆に、性欲の対象にならない女性とはどういうものかを考えてみた。特殊な性癖を持たない限り、とても幼い女児や高齢の女性がそれにあたるだろう。 だがそういう女性は「女ではない」などと言われることがある。
もちろん、言葉どおりの意味ではないだろう。上のようなことを言った場合、性別が女性だというのを理解した上で、「女ではない」と表現しているだけである。「女を捨てている」という表現もあるが、これも女性が女性以外のもの(男性、男の鬼など)に変身したと言っているわけではない。これらの表現は「女性らしさを持つか持たないか」で女性かどうかを決めているのだ。
はたしてその「女性らしさ」とは何か。このスレの>>1や多くの男性に言わせれば「性欲の対象になるかならないか」であろう。
そう考えるとこのスレタイは、「性欲処理の道具が性欲処理以外に何の役に立つか?」と読み替えることが可能である。これはちょうど、「箸がものを食うこと意外に何の役に立つか」と言っているようなものだ。
簡単な真理である。女を性欲処理の道具としか見ていない者には、女は性欲処理の道具にしか見えない(鬼としか見てない者には鬼としか見えない)。そういう者は、たとえ「女は愛する対象でもある」「女は心の支えになってくれる」「女はムチで殴ってくれる」などと反論されたとしても、「性欲処理の道具にする口実だ」などと評価するのである。


そして終いに「反論を求む」のようなことを書いた。
残念なことに、このレスに対する返信はなかった。だが書き込みが止まったわけではない(よく止めることがあるが今回は違う)。1(問題提起をした者)に対しては次々と、
「>>1は童貞」
などというレスがつけられていった。
だがやがてそれも止み、驚く速さでdat落ちになった(過去ログへ行った)。こういうことはよくある(よくあり、かつ今回もそうなった)。

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今回のように、「質問がおかしい」と言わなくてはいけない場合がある(言わなくてもいい場合はもっとある。特に今回は言わなくても良かった。その上失敗した感じがとてもする)。そう言える準備をしておきたいものだ。
いきなり「おかしい」とは言わず、質問に対して質問することも必要だ。何を聞かんとしているのかを聞くのである。そうして理解が深まっていくのではないか。それが議論である(と思う)。


「インターネットが暇つぶし以外の何の役に立つのか?」という質問には、「あなたの言う暇つぶしとは何か?暇つぶしと思ってやれば何でも暇つぶしである。人生でも仕事でも趣味でも戦争でもクシャミでも暇つぶしと言える」と聞いてやる。
「恋愛して何の意味があるのか?」という質問には、「あなたは何に意味を感じるのか?楽しければ意味があると思うが」と応えてやる。
「晩年のピカソの絵にはどんな意味があるのか?」という質問には、「ググれ(googleで検索したまえの意)」と答えることが必要である(あまり具体的なことを聞かれると困る)。



言い負かすだけが議論ではない。お互いに理解を深めてこそ、話し合う意味があるのではないだろうか。いいかげん、言い負かす癖をやめてほしいものだ。しかし、ぼくも自分を見つめ返すと反省する点が無いわけではない。言い負かされる癖を治さなくてはいけない、と思うのだ。