パンツはもちろん下着のパンツである

パンツの前開きにはボタンがついているものがあるが、小便をする際にあのボタンが閉まっているとかなり焦る。心の中は大パニックである(残念ながら表面的にも大パニックだろう)。
ボタンがしまっていることに気付くのはチャックを下ろした直後だ。女性なら「パンツを下ろした直後」に置換してもらえば分かると思うが、このときの状態を一言で表すなら、
「臨戦体制」
であろう。
「スリー、ツー、ワン」のカウントダウンが済み、「ファイア!」と言う直前の状態。あるいは、「1、2、3」のカウントダウンが済み「ダー」という直前の状態である。どちらにせよ、あとは実行するのみ。猶予は無い。そして、この状態になって実行を取りやめることは難しい。無謀と言っても良いだろう。
例えば映画で、戦闘機がミサイルを発射する際、「スリー、ツー、ワン」のカウントダウンの間に予定が変わり、本部から無線で予定を変更する旨が緊急に伝えられることがあるが、大抵は間に合わない。戦闘機が何機かいた場合、少なくとも1機はミサイルを発射してしまうのである。その後本部から「なぜ撃った!この早漏野郎!」などと罵られることもあるが、発射する前提でカウントダウンしているのだから仕方が無い。
色々な前提によって人は行動している。例えば玄関のドアを開け外出する際、特殊な環境にある人以外は、ドアの前に地面があることを前提としていると思う。それがいきなり断崖絶壁になっていたらどうだろうか。どうだろうかと言われても、「落ちるんじゃないかな」としか思えないと思うが、良くても、落ちかけたりすると思う。
つまり言いたい。パンツの前開きのボタンは、ドアの前の断崖絶壁である。ぼくの場合、対応が迅速だったためか、今のところ最悪の事態は防げている。
毎回、漏らしかけるだけですんでいる