行ったら帰ってこれない点で死後の世界に似ている

冷蔵庫は内側から開かないという。つまり、そう言われている。冷蔵庫が喋っているわけではない。
「内側から開かない・・・」
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これは考え様によっては恐ろしいことだ。というよりも、怖がらせるためにそういう仕様になっているとしか思えないくらいである。間違って中に入ってしまったらどうしたらいいのだろうか(まだそうなったことがないのは運が良かっただけであろう)。
一体何を考えてこんな風に作ったのか、一度製作者と話し合ってみたいものである。それでもし、「怖がらせるために作った」などと言われたとしたら、ぼくはもう、ものすごい勢いで相手の鼻めがけて「やっぱりそうなんですか」と言い返してしまいそうである。
しかし憤っていても仕方がない。あれは結果的に怖いが、怖がらせることが目的でもないんだろう。
小指が欠けている人を想像してもらえば分かるが、あれだって、怖がらせるためにそうしているわけではないはずだ。何か理由があってのことだろう。それでも怖いという人がいたら、その人は正常であろう。


怖がらせるためではないとしたら、なぜ冷蔵庫は内側から開かないようになっているのだろうか。たまたま作ってみたら内側から開かなかった、ということなのだろうか。もしそうだとしたら、作った人も「どうして内側から開かないのか分かんないけどまあいいや」なんて言っていたりするのだろうか。そんなバカな話は無さそうだ。やはり、意図的に内側から開かないように作ったのだろうし、そうしたのは、何か利点があったからだと考えた方がいいだろう。どんな利点だろうか。
今思いついたのは、人を閉じ込めても逃げられる心配が無い、というものだが、冷蔵庫とはそんな使用方法を想定して作られている物だろうか。
もし人が入ることも想定の範囲内だとしたら、むしろ内側から開けられるようにするはずなのだ。人が入るのを考えているにもかかわらず、内側から開けられないように作ったのだとしたら、いよいよホラーである。
ちょっと台所へ行って、冷蔵庫を開けてみた。初めて知ったのだが、かなり弱い力でも開く。こんなことでは、中で物が倒れたら、ドアごと開いてしまいそうである。ひょっとしたら、それを防ぐために内側から開かないようになっているのだろうか。ひょっとしなくても、どうやらそのように思えてきた。
それにしてもあまりに小さい力でドアが開くのでびっくりした。本当に内側からは開かないんだろうか、と疑問を抱くほどである。まさか開くんじゃないんだろうな。これで開いたら承知しないぞ。
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これで一応、冷蔵庫が内側から開かないのことの理由はわかったのだが、どのような仕組みでそうなっているのかはわからずじまいだ。まるで、動機はわかったが、肝心のトリックがわからないミステリィのようである。そんなミステリィは、きっと面白くないだろう。ぜひ「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」などでやって欲しいものである。

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あ!
素朴な疑問集冷蔵庫って中から開かないと聞いたことがあるのですが、それって本当ですか?"