どの店より気軽だ

駅の立ち食いそば屋をよく利用する。
どこの店もメニューは同じだし、味も似たり寄ったりだが、その中でもちょっとした違いはある。
一番好きな立ち食いそば屋は、スープが少なめ、かつ、麺を冷たいまま放り込む店だ。新潟駅構内の1番線側ではない店がそうだった。ぼくは少し猫舌なので、そうしてもらうと丁度よかった。
メニューでは月見うどんが好きだ。そばはめったに頼まない。ぼそぼそしていて、食べると悲しい気分になるからだ。もっと高級なそば屋さんのそばならいいのだろうが、立ち食いの場合、ぼくはうどんしか食べないことにしている。贅沢をしたい時は天ぷらをプラスして天玉うどんを食べる。それでも420円だから安いと思う。
お椀を下げる時は「ごちそうさまでした」という。立ち食いそば屋は、ごちそうさまと言わないと、なんだか収まらない。他のご飯屋さんもそうなのだが、立ち食いそば屋は特にそうだ。黙って「ゴトン」とお椀を置いて去ると、何かがひっかかる。まるで不良にでもなった気分である。