塩狩峠

これは泣ける本です。こう書くと、読解力の無いやつだな、と思われてしまいそうですが、というかその可能性はむしろ高いつもりですが、そんな僕に一言言わせてください。この本は「泣ける」要素を十分に満たしています。
『号泣する準備はできていた』という本がありますが、『塩狩峠』は準備が出来ていないのに号泣してしまう本です。どう準備が出来ないかというと、まさかこんな展開(ネタバレなので言えない)になるとはつゆと思っていないので、電車の中でクライマックスを読んで号泣してしまったという報告を何件かうけているくらいです。『号泣する準備は出来ていた』のように、タイトルに「泣」という字が入っていれば、「ああ、この本は泣けるんだな。家で読もう」となりますが、まさか『塩狩峠』で号泣してしまうなど、誰が思いましょうか・・・。わかりやすいように、タイトルを『塩狩峠(号泣;;)』にしたほうがいいと思うくらいです(いっそJAROに言うたろか!)。それくらい泣ける本なのです。
塩狩峠とは、旭川・稚内間を結ぶ鉄道宗谷本線に実際にある、こう配のきつい峠です。そこが『塩狩峠』のクライマックスの舞台になります。文庫本をめくって、だいぶ左側ページが薄くなってきた頃、それまですっかり忘れていた塩狩峠」という単語が出てきます。そこからこっちの準備ができないうちに、クライマックスからラストへ、怒涛の勢いで物語は展開します。ダチョウ倶楽部なら、「聞いてないよ!」と言うはずです。そうです、言ってないのです。というか彼らの場合、本当は聞いているかもしれませんが。
こんなたとえしか思い浮かばなくてすいません。それと、江國香織の『号泣する準備はできていた』を読んでもいないのにあれこれ言ってすいません(アマゾンのレビュー『号泣する準備はできていた』を見ると、どうも号泣できない本のようです。あと、号泣する準備が出来ないはずの『塩狩峠』を,、これを読んだことによって準備できてしまう人がいることについて謝りたいと思います。ごめんなさい。
フォント強調とかしてみましたがどうでしょうか。


塩狩峠
三浦 綾子

新潮社
1973-05
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