職場でのこと

ある部署を担当している40半ばの小太りなパートさんがいつも社員の人に注意されているのだが、その注意の仕方があまりにも嫌らしく聞いているほうが切なくなってくらいなのである。
そのパートさんを仮にWさんとする。Wさんは無口なほうでありあまり喋る人も無いが、ぼくは八方美人の性格であるためその人にも時々喋りかけたりしていた。今日も帰り際に売り場で「がんばってよぅ」と声を掛けた。今日はWさんがいつもに増して叱られている現場を目撃してしまったので、そのことに対して何か言わなくては、と思ったからだ。そしたらWさんは涙ぐんでしまったのである。それほど切なかったのだなぁ、としみじみ思った。ぼくも泣きそうになったので、二言三言交わした後、「おつかれさまでした」と言って帰った。
だがぼくもどちらかと言えば社員側の人間でありというか社員であるので、愚鈍な人は嫌いと言えば嫌いである。実際に同じ部署で仕事をすれば、Wさんに注意の1つもするだろう。だからぼくの優しさは綺麗ごとである。関係ない人には優しくできる、というだけのことだ。
やはり偽善なのだろうか。その事に対していくつか考えを巡らせたが、やはりそういうことであるなぁと思い、あまりに色々な人に優しくするのも考えものかもしれないと思ったが、関係の無い人にならいくらでも優しくしてもいいだろうという結論に至った。いやむしろ、優しくせんといけん、と思ったのだ。
そんなせんと君が刻まれたんよ・・・。