山君に会うといつも「おひさ!」と言われるのでこっちも投げやりに「おひさ!!」

山君と新潟駅南のジンギスカンに行ってきた。食べ放題のコースにしたので、カルビを頼もうとしたら、「ここはラム肉以外は美味しくないの!」と山君に小声で注意された。前回もそんなことを言われた気がする。前に来たのは1年くらい前なので、すっかり忘れていた。
またぼくだけがアルコールを飲む。仕事の話と、川田亜子が自殺した話などをした。
川田アナの話は、山君の方から振ってきた。ぼくがテレビも新聞も見ないのを知っているのに、山君は、「なんとなく知っている気がした」と言った。偶然、本当に知っていたので、ちょっと驚いた。
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ぼくが辛かったときの話をした。
「俺はあの時、山君がいなかったら死んでたよ」
「そんなに簡単に死なないね」
「いや死ぬね。たまたま山君がいたから良かったんだ」
あの時たまたま山君がいなければ、簡単に死んでいたかもしれない。また、簡単に殺していたかもしれない。それくらい、垣根なんてあってないようなものだ。
希望が無い人間は自分を殺すのも人を殺すのも、ずっと簡単だ。違う?
別に皮肉ってハテナを使っているわけじゃなく、本当に疑問に思っている。ぼくは誰も殺していないし、自殺もしていないからだ。
自殺した人間とぼくの何が違うんだろう?やっぱり、ほんのちょっとしたことなんだろうか。山君がいるかいないか、そんなもんじゃないんだろうか。
あの時は、泣き叫びながら電話して、そのまま山君の家に転がり込んで、それから3日間、山君の家から出勤した。死ぬほど辛かったけど、山君がいて、仕事があったから、死ななかった。
何のオチもないけど、あんときゃ助かったぜ、山君。