任務

WITHビル1階の出口でタバコを吸っていたら、猫がにゃあにゃあ鳴きながら歩いていた。無防備に通りを行ったり来たり、にゃあにゃあにゃあにゃあやっていたので、おや、一大事か、と思ってついていくと、20センチくらいしかない建物の間に消えてしまった。
そこで10数秒ねばっていたら、小猫を見つけた。あれは親猫だったのだ。すき間に近づいたら、フーッ!と唸ってきた。
ちょっと考えてから、クスリのコダマを通り抜け、デイリーでツナ缶1つを買った。またコダマを通り抜け戻ってくると、さっきの隙間を、30歳くらいの女性が背伸びをして覗いていた。
「ここ、猫いませんでした?」ぼくは言う。
「ええいますよお」
そう言って、彼女はすき間の片方である建物である服屋に入っていった。きっとそこの従業員なのだ。
ぼくはすき間の中へ、できるだけ手を伸ばして、開封したツナ缶を置いた。3メートルほど離れてみていると、親猫ががっつきはじめたので、近くの100円ショップに行くことにした。そこでは、ジャグリングのためのテニスボール3つと、小さなホワイトボード(消したり書いたりが簡単な、子供が使うおもちゃ)を買った。その商品をかばんに詰めて、空いたビニール袋にツナの空き缶を回収。以上が本日の任務であった。
栄養の偏りや、缶で口を切ったりしかなかったか、また、小猫の方は食べれたのか、という心配が残った。