当たり前のかわゆさ

若い女の子が「かわいいー!」とか言っているのをよく見聞きする。何か小さい人形とかキャラクターを見て言っているのだが、それ本気か、と思う。猫のほうがずっとかわゆいではないか。

「かわいいー!」という声を聞くと、それが猫に対して言っているものなのかどうか、まず気になる。そしてそれが、どうやら猫に対するものではないとわかると、深い憤りを感じる。
猫が一番なのは明らかなのに、猫を差し置いて「かわいい」などと言っていいのか。それは猫に対する侮辱ではないのか、と。
そのあたりを一度猫に伺ってみたいのだが、いつもそのかわゆさの前にそんな事は忘れてしまう。

ぼくはまた、猫に対して「かわいい」と言うことに対しても疑問を持っている。
そもそも、猫というものはかわいいことが決まっているのである。そんな猫に対してことさら「かわいい」などという必要は無いはずだ。
猫を見たらそのかわゆさの前に、「ねこ!」と言うのが極自然な事だ。そして、猫をかわいがるときは極自然に「ねこねこ」と言いながら見つめたりなでたりするものではないか。そして、「こねこね」になった頃、こねくりまわすものではないか。

この辺で筆を置きたい。
ところで猫毛の筆というものがあるらしいが猫好きのぼくからすると戦慄ものである。もう作ってしまったものは仕方ないから、一つくらいは欲しい。