酔っぱらい

「猫の手も借りたい、なんて言うけど、そんなもの借りてどうするつもりなんだろう」
「借りても仕方が無いけど、それでも借りたいんだよ」
「あとアレ。藁にもすがる思い、って言うけど、藁にすがってどうするの」
「それでもすがりたいんだよ」
「じゃあ、借りてきた猫の手で、藁にすがったらどうなるの」
「そりゃあ、藁にすがる時点で望み薄なんだから、それを猫の手でやったら、アウトだよ。いくら忙しくたって、藁くらい自分の手で掴まないと」
「じゃああれ、のれんに腕押し、ぬかに釘は、えっと、のれんに釘をするとどうなる?」
「釘でのれんを止めてるんだから、外せなくなるんじゃないの。いつまでも店じまいできない店だよ」
「ぬかにうで押しは?」
「それは・・・、普通にかきまぜてるんじゃないの」
「猫に小判、豚に真珠。あ、これはどっちでも同じだ」
「猫の耳に念仏聞かせたら、理解してるような顔をしたよ」
「渡る世間って、本当は鬼ばかりなのか、鬼は無しなのかよくわからなくなってきた」
「あたしはもうどうでもよくなってきた」