私の夏

私の世界は常に暗い。昼間も夜も無い。いつでも、どこへ行っても、ただ暗い。
裏表が無いコインのように退屈な、上下の無いだまし絵のように当惑させられる、じれったくて、どこを探っても、どこにも手の届かない世界。
私は闇に生きている。

いつからか、闇に生きることを選んだ。敏感で、さわやかな意識はとうに失った。いや、失うように仕組んだのだろう。あのような意識の下では、手に入るものに対して、失うものの方が大きすぎる。つまり私は、何も失わないかわりに、何も手に入らない世界を選んだのだ。高すぎるリスクを避けただけのこと。そう、誰でもやっていることだ。


しかし、久しぶりに昼間に外出した、
たったそれだけのことで、大きな痛みとともに僅かに手に入る何かのことがとても気になり、闇に生きるのをやめた。

たったそれだけのことで、
たったあんなものを手に入れるために、
火に焼かれようと思った。

闇に生きられない。
これが私のバグなのだ。


夏を走らせてみて、見つかるエラー。


何を走らせてみて、見つかるエラー?