ああるろろ

リレーという競技が不可解な昨今ですが・・・。
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デパートの入り口のそばの階段から地下一階へ降りました。食料品売り場です。そこをカゴも持たずに、売り場を縫うように、縦横無尽というのでしょうか、私はひたすらに歩きました。できる限り速く歩きました。
その時私は何を見ていたでしょうね。思い出せませんが、過ぎ去る人は私を見ます。見ない人もいます。
やがて飽いてきました。しかしこれはわかっていたことです。ですから私は、そのころ、下りてきたものとは別の階段を使って、1階へ上がりました。そのまま3階まで上がります(4階まで行かないのは疲れたからでしょう)。
そこからエスカレータを使って6階まで上がりました。子供を3人、大人を8人追い抜きました。やはり皆、私をじろじろと見ます(特に子供は容赦がないですね)。
CD売り場を通り過ぎ、本の売り場へたどり着き、ふだん楽しく読んでいる雑誌をペラペラめくってみました。
嫌気が差しました。この期に及んで、得をしようとしている。つまり経済的な観念に縛られているのが嫌になったのですね。そんな、卑しい自分が許せなくなり、本も戻さずに、即座にそこから離れました。今度はお菓子売り場です。
くだらねぇ、ちくしょう、ふざけるな、ワカチコン、デカメロン、ということをつぶやきながら、割と大きな声でつぶやきながら、かたっぱしから菓子を開け、食い散らかしました。なるべくまずそうなものを選んで、つまり普段なら絶対に手をつけないようなものを選んで、そうしました。
今度は誰も私を見ません。
そこでややあって万能になり、視界360度どころか、地の底から天の果てまで見渡せるようになると、私はそのまま空中に浮き、漂いながら、と思ったら、一気に天井を突き抜け、真っ暗な空の中にいたのです。


そして今私は2階のトイレにいます。
記憶をたぐってみると、いえ、あまりたぐりたくないのですが、いえ実は、正直たぐる必要もないくらいにはっきりと憶えておるのですが、申し上げますと、6階で失禁してそれからものすごい勢いでここまで下りてきたのですね。
その間、子供を一人跳ね飛ばしましたが、あれは事故だったのか故意だったのか、それだけが気がかりです。