「しりとり」

中島らもの著作『しりとりえっせい』を読んだ。エッセイの毎回のテーマをしりとりで結んでいくというエッセイ集だ。おもしろかったのでぼくも形だけ取り入れてやってみようと思う。なんでも形から入るのは得意だ。

しりとりえっせい
中島 らも
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  • 「しりとり」

小さい頃、しりとりの相手はもっぱら弟だった。一番頻繁にやったのは、ぼくが10歳、弟が5歳の頃だったと思う。その頃ようやく一人前に言葉を操れるようになった弟を相手に、ぼくはしりとりを「存分に」楽しんだのだ。
5歳下の弟より言葉を沢山知っており、「リ攻め」などの戦法を知っていることで勝負を支配できるのも楽しかったが、なにより、弟に言葉を教えられるのが楽しかった。


「りんご→ごりら→らっきょう→うし→しいたけ→けんだま→まり」


ここで出てくる、


リンカーン大統領」


弟は「えっ」と言う顔をする。そこでぼくの解説が入る。


リンカーンというのはアメリカの大統領だ。桜の木を折ったことを正直に告白した逸話を持っている」


当時のぼくに言いたい。「それはワシントンだ」と。
こうして弟は間違った知識をどんどん吸収していった。


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実家に帰ると、母から弟の成績の報告をたびたび受ける。特に社会の点数が芳しくないようだ。しかし、数学や英語も芳しくないようだからぼくに責任はないだろう。ぼくも全体的に芳しくなかった。特に国語がダメだったように思う(今も「芳しい」の意味をよく知らないで使っている)。