コンビニで激突


近所のコンビニに行ったら、店の入り口に激突している人がいた。おそらくぼくと同年代の女性である。
そのコンビニの入り口は二重構造になっており、自動ドアの外側にサッシが設置されているのだが、彼女はそのサッシに頭をぶつけていた。(そのあと体ごとぶち当たり、「グワアン!」とすごい音をたてていた)

彼女が「激突」した理由は、サッシが自動で開くと思ったか、それともサッシの存在に気付かなかったのかのどちらかだろう。おそらく後者だ。一目見て「サッシ」なら自動で開くとは思わないだろうし、もし自動で開くと思っても、認識としては開かない自動ドアと一緒だから、寸前で止まれるはずである(それにもしぶつかったとしても激突にはならないだろう)。
前にぼくがそこ(同じ場所)で激突した時もそうだった。サッシなんて無いと思っていた。
あの時の気持ちをどう表現したらいいのだろうか。何も無いと思っていた所に何かがあった、と言うだけでは足りない。それではサイフに1万円が入っていたとか、冷蔵庫に肉が入っていたと言っても良いことになる。これは嬉しい。
嬉しくないし、もっとありえないことだ。例えば、サイフに指名手配犯が隠れていたとか、冷蔵庫に北方領土が返還されていたとか、少し目をつぶったと思ったら6時間も眠ってしまっていたとか、その間に性転換させられていたとか、それくらいの意外性・裏切り力があるのだ、と言えば分かってもらえるだろうか。実際、そこまでひどくはない。
でも、おでこは痛いし恥かしいわで大変なことである。
彼女は激突後、即座にサッシを迂回しコンビニに入った。そして買物を終えるまで「自分の身に起こったことがよくわからない」という顔をし続けた。首もほんの少し傾けていたと思う。おでこの痛み顔をしかめたりもした。ぼくも前に全く同じ行動をとっていた気がする。もちろん周りの顔を見る余裕なんて無かった。


今回、彼女の「激突」を目撃した人を観察する機会に恵まれたわけだが、反応は4つ。


①唖然(アホウを見る顔)
②失笑
③爆笑
④「死にたい」という表情



④はぼくだ。