硫黄のきっつい、温泉(紅茶の美味しい、喫茶店のリズムで)。

他の地域の事はあまり知らないが、新潟は温泉が多い場所だと思う。というのも、ぼくは平均して2,3ヶ月に1度のペースで村田君と温泉に出かけているのだが、ぼくらの狭い行動範囲の中にも、まだいったことのない(これから行くつもりの)温泉がいっぱいあるのだ。ぼく等のような若者がコンスタントに温泉に行くというのはあまり無い気がするが、これも他の人のことは全然知らないので詳細は不明だ(ぼくらは人付き合いも狭い)。憶測ばかりだ。温泉で見かけるのがほとんど老人であることから、2番目の憶測は「新潟は温泉が多い」という憶測よりもある程度は根拠があるとは言えるだろうが(もっとも、憶測でないものなど無く全ては程度の問題でしかない。程度の差は大いに問題だが)。

たまに若い人もいる。だいぶ前になるが、硫黄のきつい温泉に浸かっていたとき、同じ湯船に浸かっていた2人連れの男は若かった。なぜそんなことを覚えているのかと言うと、たんに2人の会話が印象に残っていたからである。ぼくはハードゲイではない。


硫黄臭い温泉で2人連れの片方が、突然
「ああ〜この臭い嗅いでたらお腹すいてきたよ」
と言った。
一瞬訳が分からなかったが話の続きを聞いていたら、どうやら硫黄の臭いがゆでたまごの臭いに似ていて腹が減ったらしかった。そう言われると、なんと、ぼくもお腹がすきはじめた。そして、この温泉にハエが集まらないのはなぜだろうかと思った。憶測だが、ハエの臭いセンサーは人間より精確なのだろう。
―――
ぼくは温泉好きという訳ではないのだが、村田君が大の温泉好きで、2人でどこかへ出かけるとなるとまず「温泉はどうか」という選択肢を出してくるので2人で温泉によくいく結果になっている。
ぼくはハードゲイではない。村田君のことは知らない。詮索はしない主義だ。