男子トイレ問題

世の中、考えすぎたら発狂してしまうようなことばかりだ。それでもぼくが発狂しないでいられるのは、大学の講義を受けたり課題に取り組んだり、風呂に入ったり歯を磨いたり、テレビをみながら笑ったり、泣いたり、怒ったり、発狂したりしているおかげだろう。もしこれらの用事がなくなり、たっぷりと物事を考える時間だけを与えられたとしたら、確実に発狂するか、居眠りをしてしまうところである。
先日、大学の健康診断を受けたときも、あまり深く考えたくない問題に遭遇した。深く考えたくないから書かない方が良いのだが、もうすでに考えてしまった分だけは書こうと思う。楽しみは独占したいが、苦しみはできるだけおすそ分けしたい。
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健康診断では検尿をするため、各自がトイレで尿をとってくる必要がある。紙コップを渡され大学のトイレで採尿するのだが、そこで「男ならでは」の問題に直面した。
ぼくがトイレに入った時はまだ誰もいなかったので、普通に個室に入り採尿をはじめたのだが、すぐ次に入ってきた人が、なんと立ち小便器で採尿をはじめたのである。おかしな人だなぁと思っていたら、次に入ってきた人もなんと立ち小便器でやりはじめたのだ・・・。
まさか立ち小便器で採尿をするのがその界の常識というわけでもないだろう(ぼくはそう思っている)。その次にトイレに入ってきた人は、ぼくと同じく個室で採尿をはじめた。これが常識である、はずだ。

ぼくが感じた問題というのは、採尿を立ち小便器でしている人がいることによって、採尿は個室でするのが当たり前だと思っている人が、ある選択を迫られるということだ。
これはわかりやすく言うと、弱い雨の時に傘をさすかささないか、という時の選択と同じである。少しでも雨が降れば傘をさすことを常識と思っている人が傘をさしたとき、その隣に傘をささない人を見てしまったら、傘をさしているひとは選択を迫られる。つまり自分の考えを貫くか、もしくは彼のように我慢(少しくらいの雨など何でもない顔)をするかを迫られるのだ。これは割とメンツを重んじる、男によくある問題だと思う(ぼくが女のことを知らないというわけでは決してない、と思いたい)。
もっとわかりやすい例で言うと、フィンガーボールの水を飲み水と思い飲んでしまったマナーの分からない人に恥をかかせないように、その人に合わせて、マナーを知っている人もまたフィンガーボールの水を飲んだという話があるが、これでわかってもらえなかったら諦めたい。
つまりぼくが言いたいことは、ぼくに恥をかかせることのないように、後からトイレに入ってきた人もちゃんと個室に入って採尿をしてほしいということだ。そうしてくれないと、まるでぼくが人におしっこをみられたくなくて仕方ない坊やのようではないか。
しかしこれには続問題がある。個室は三つしかないから、それが全て埋まっているときにどうしたらいいのかという問題だ。そうなってくると、なぜ空いている立ち小便器を使わないのか、ということになり、またそこで選択を迫られるのである。考えているだけでおかしくなりそうだ。というか考えているからおかしくなるのだ。
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立ち小便を見られたくないというわけではないのだが、男子便所には女子便所と違い2つの便器があり、こういう選択を迫られる場合があるということを訴えたかったのだ。理解してくれただろうか。
もし理解してくれたとしても、感想は「ふぅん」くらいだろうか。その時は、理解してくれただけでも奇跡だと考えることにしよう。