モーニングコーヒー飲もうよってどういう意味だ

実家に居た頃はよく弟と一緒にテレビを見た。
見ながら文句を言う。初めて見たタレントに対して、「こいつは絶対売れない」と言ってみたり、始まったばかりの番組に「こんなのすぐ終わるよ」などと言ったりしていた。
黒と白コンビの「オセロ」が出だしたときも、「こいつらすぐ消えるよ」などと悪態をついていたわけだが、これについては、予想が完全に外れてしまった(オセロは今も「ドシロウト」などの各種バラエティや、その他ドラマにも出ている)。
ASAYANモーニング娘がデビューした時もそうだった。デビュー曲の「モーニングコーヒー」を歌っているのを見ながら、「こんな歌誰が聞くんだよ」などと言っていたのだ。これについても、すぐにぼく等の予想が外れたのが判明した。
それからというもの、テレビにモーニング娘が出ると、ぼく等の間に微妙な空気が流れた。
それを打破するため、一度弟に向かって、
「俺たちモーニング娘がデビューした時馬鹿にしたけど、予想外れちゃったね」
と言ってみたことがあるが、あまりいいリアクションは返ってこなかった。無かった事にしたかったようだ。
ぼくだってそうなのに勇気を出して言ったんだ、と叫びたかったが、それ以上に、こんなミスを取り繕うようなこと言わなきゃよかったと思った。
ミスといえば、初めからテレビに文句をつけなきゃこんなことにはならないのだが、こればっかりはどうにもならない。出てくるタレントに対してどんどん文句を言ってしまう。
オセロに文句を言った、モーニング娘にも、長谷川京子にも言ったし、木村拓哉には100回くらい言った。
そして、文句を言ってしまったタレントを見ながら楽しむ事は許されない。一度ボロクソに言ってしまっているので、ぼく等にもメンツというものがある。
テレビがどんどん楽しくなくなる。2人で文句を言うたび、楽しめる番組が減っていく。自分で自分の首をしめていることに気付いたのは、もうずっと後だった。NHKしか見れないのに耐え切れなくなった頃、ぼくらは別々にテレビを見だした。
少し言い過ぎたが、こういうことは兄弟でなくてもよくあるのではないだろうか。一度とことん批判したものに手を出せなくなってしまう、というようなことだ。
例えば、「漫画は読まない」と言って、漫画好きのぼくをバカにした人がいたが、その人は後でぼくに隠れて漫画を読む羽目になった。祖母の事だが。