あぶりサーモンに思い入れは無い

犬は何でも食べるらしいが、ぼくも負けじと色々なものを食べている。
例えば、回鍋肉やカツ丼のような、いわゆる大衆的なものを食べるし、その一方でラーメンやチャーハンのようなものまで食べる。これも大衆的だが。しかしいつもそんなものばかり食べている訳ではない。たまには寿司だって食う。
と言っても、ぼくの言う寿司ってのは回転寿司の事なんですけどねェ、なんて、ちっとも痛くないからする卑下でもしてみて、思いついた。今日はこの話をする。
●〇「すし屋での注文方法」〇●
あれは毎回迷う。と言っても、何を食べるかを迷っているのではない(これは全く迷わない)。
ぼくが迷っているのは、例えば「あぶりサーモン」が食べたい時、
「あぶりサーモン」
と言ってもよいのか、それとも、
「すいません。あぶりサーモン」
と言わなければいけないのか、というものである。
ちなみにぼくは90%以上の確率で後者を選択している(たぶん100%だが控えめに言ってみた)。
(それなら悩むだけ無駄の様にも思われるが、本当は「すいません」なんて言いたくないので、いつも悩んだあげく後者を選択している。)
「すいません」と言うのは、ぼくの存在を気付いてもらうためなのだが、1回言うだけでは気付いてもらえず、「すいません。すいませーん」と2回言うこともある。それでやっと気付いてもらい、注文をしたとしても、「は?」と聞き返されることがあるので、背筋が寒くなる(もはや怪談の域)。そういう時は再度「あぶりサーモンください」と言うのだが、また聞き返されたり、あるいはなんと、「ブリですね?」と注文したのと違うネタを言われることもある。そういう時は、「ハイ」と答えることにしている。というよりそれしかできない(落涙しないので精一杯なため)。
相手が難聴なのかもしれないと思ったこともある。だが、ボソッと、まるで呟くように注文する他の客への反応はすこぶる良いのだ(地獄耳かと思う)。ぼくが注文した時だけ店員が難聴になっている可能性も無いではないが、そんな短時間に耳が良くなったり悪くなったりするものだろうか。
一度聞いてみた方がいいかもしれない。「すいません。耳が遠いんですか?」
たぶんこう言われるだろうが。
「は!?」
―――
相手が難聴でないとしたら、ぼくの注文の仕方が悪い(タイミングが悪い・声が小さい、等)か、ぼくが嫌がらせを受けているかのどちらかが原因だろう。ぼくの注文の仕方は普通だと思うので、嫌がらせを受けやすい人間なのだとして話を進めたい。
嫌がらせをされる原因は、ぼくがあまりにも醜悪なためにそうされるのか、かっこよすぎて妬まれているのか、このどちらかの可能性が高いと思われる。
どうやら答えがはっきりしたようだが、そろそろこの話の幕を下ろしたいと思う。尻切れとんぼ(こま切れという話もある)。