ゼシカのコスチュームだけが楽しみか

まだ実家にいる。弟が買ってきたドラクエ8をやりはじめたら帰るタイミングを逸した。でも明日帰る。
ドラクエ8、やりはじめてから約3日しか経っていないが、すでにプレイ時間は20時間を超えた。しかしこのゲーム、あまり面白くは無い。何が悪いのか考えてみたら、このゲームはストレスが多い。
まず、フィールドが広すぎる。把握するのに時間がかかる。徒労が多い。
ドラクエ8はキャラクターはもちろん、フィールドさえオール立体なので、1箇所で得られる地形情報が少ない。1つの方向から眺めただけでは、把握が全然足りない。平面2次元鳥瞰、地図の上を歩くがごとくのRPGとは違い、ひょっとしたらあの丘の後ろには宝箱があるかもしれない、という可能性が常にある。それを全て確かめなくてはいけないから、フィールドがとてつもなく広く感じる。そして、確かめたところで、何も無いことの方が多い。そのたびボディーに軽くジャブをいれられたようなショックを受ける。徒労のショックである。
あとは錬金釜。これむかつく。
アイテムとアイテムを組み合わせて新たなアイテムを作る、というのが錬金釜システムだ。たいてい、組み合わせをして出来たアイテムというのは、組み合わせ前の2つのアイテムよりも価値のある(売値も高い)アイテムになる。
これだけなら、単にじゃんじゃん錬金して、満足するまでアイテムを作りまくればいいのだが、実はこの錬金には、若干の時間がかかる。2つ(または3つ)のアイテムを釜に入れてから、しばらくうろうろしないと錬金が完成しないんである。これがストレスになる。
というか、錬金を常にしていないと損をする、ということがストレスになっているのだ。そしてその損の実態が不明確なのがまたぼくに空しさのジャブをかます。
たしかに、錬金をしていない時間は、金の面でいえば明らかに損だろう。「資産」という概念で考えてみたらわかる。価値の高いアイテムを作っている時間は得で、それを基準に考えると、作っていない時間は損な時間ということになる。だから錬金釜は常に稼動させておかなくてはいけない。生産システムでいうと、休んでいる機械がなるだけ無いようにしなければいけない、ということだ。これが嫌だ。
なんだかよくわからないままに増えてゆく価値のあるアイテム。売れば高く売れるのわかっている。だが、金に困ることがこの先無いかもしれない。その不安によって、錬金釜を常に稼動させておく、その手間が空しい。特に作りたいものがない時でも稼動は続ける。やくそうとやくそうを入れ「上やくそう」を作り、更に上やくそうと上やくそうを入れ「特やくそう」を作らなければいけない。そしてこれを使う日がいつくるのか、ぼくにはわからない。まるでバブル期の工場長にでもなった気分である(なんとなくで言っているが、なんとなくわかってくれることを願う)。
―――
別に、フィールドの全てを把握する必要は無いし、それで宝箱を1つくらい取り残したって、そんなに気にすることはないだろう。錬金釜も、常に稼動させておく必要はないはずだ。
だが、そうしてしまう。中途半端に完璧主義なのがいけない。遊びなんだから楽しめればいいじゃん、という風に思えない。楽しもうとして、試しに、フィールドの隅を無視し、特に作りたいものが無い時錬金釜の稼動をストップさせてみても無駄である。そうしたらそうしたで、フィールドが気になり、「錬金ストップ=損」の図式が頭をよぎるのだ。かといって丘の向こうまでいくのはめんどくさいし錬金をずっとしているのも大変だ。もう死んだほうがいいのだろうか。
―――
錬金釜はアイテムが完成すると、「チーン」と音がなる。その音があたまにこびりついているのだろう、テレビや何かの音でチーンと聞こえると、アイテムが完成したかと思ってしまう。そして一瞬、「次の錬金をしなくちゃ!」と思ってしまうのでこれが嫌だ。そんな錯覚が嫌だし、次の錬金をするのも嫌だ。こう考えてみると嫌嫌尽くめのゲームだ。これに何千円かお金を出した弟は一体どう思っているのだろうかと聞いてみたら、「おもしろいよ」だって。ちなみに弟の本棚には「クレヨンしんちゃん」と「ちびまる子ちゃん」しか並んでいないことを言っておくとしてこれが最後の遺言。