美談

近所の新しいコンビニに電話料金を払いに行った。約7000円の出費。
ぼくの当たったレジが新人さんで、公共料金のレジ打ちに慣れていないせいか、少しパニックになっていた。急がないし、まぁいいやと気長に待っていたら、彼女は、おつりを1000円多く渡してきた。
ぼくは、まだレジのホルダーに止めてある、今払った札の数を確認してからこう言った。
「あれ、違いますけど」
彼女はますますパニックになって、
「あっ!すいません!」
と言うと、すごい勢いで再度レジを開け、おつりにまた1000円を足そうとした。
ぼくはにこやかに(半笑いで)、
「いや、違うんです。多すぎるんです」
と教えてあげた。
彼女は一瞬ピタッと止まってから(たぶん頭の中は真っ白だっただろう)、ハッと気がついて、おつりをもう一度計算した。すると、すぐに
「すいませんでした!」
と叫び、ほんとうのおつり「200円」を渡してくれた。
ぼくは、
「やれやれ参ったな。今回は相手が俺だったからよかったものの、普通なら自腹もんだぜ。次からは気をつけろよ」
と言うと、次からこの店に来られなくなるので、だまって店を出た。
―――
あのまま2000円多くもらうか、もう一度「違いますけど」と言って3000円多くもらってもよかったが、あのときはあの子の一生懸命さとその表面的事象におけるいい意味での突出性(つまり・・・)に負けてしまった。
まだまだ修行が足りませんね!
―――
しゅくだいやろう。