恐怖体験

この話は長くなるからやめようかと思ったが、自分ひとりの心にとどめておくにはあまりにも重く、辛い話であったので、ここで語らせてほしい。。
僕は、山君の履修している3限の授業が「休講」になっているのを掲示で見つけたとき、今日は昼飯を一緒に食えるな、と思った。昼休みの後が3限なので、3限が休講になると、素晴らしいことに、昼休みが1時間30分も増えた事になる。やったぁ、ピータバラでゆっくりコーヒー(超うまいコーヒーなのにおかわり超無料)でも飲みまくろう、と思った。しかし・・・。
つづく


全開のあらすじ。コムギコは山君とコーヒー飲み放題の夢をみたがはたして・・・。


2限のゼミが終わると、早速僕は山君に電話をかけた。しかし、繋がらない。どうやら山君のゼミは長引いているようである。20分も待った頃、やっと山君から電話がかかってきた。
「今までゼミだった―。どうしたの?」
僕はウキウキしながら言った。
「山君サー、3限が休講になってるの見た!?」
「えっ!本当!?そしたらゆっくり昼飯食えるジャン!どっかいく?」
「いこういこう!図書館で待ってるよ」
「うん。でも今体操着だからちょっと時間かかるよ!」
「わかった!」
それから待つこと25分。ダヴィンチを読み終わった頃電話がかかってきた。もうハラはペッタンコである。「体操着から着替えるのに何分かかっとるんじゃ!」「そもそも体操着を着るゼミてなんじゃ!」山君を罵倒するセリフは用意してあった。しかし、本気で怒っているわけではない。顔は笑っているのだ。それも恐いかもしれないが、とにかく、笑いのニュアンスがあるということだ。「この馬鹿野郎(笑)」という感じである。なにしろ、この後僕らは夢のランチタイムなのだから。
だが用意されたセリフは僕の口から発せられる事は無かった。山君はこう叫んだのだ。
「ねぇ!3限休講じゃないよ!休講なのは来週だよ!!
この時僕は貧血を起こしそうになった。そのまま倒れそうになる身体をしっかりと支え、声を振り絞ってこう言った。
なんで?
「なんでって・・・だって掲示にそう書いてあるよ!今見てるから間違いないよ」
さっきとは逆に頭に血が上った。あまりの怒りに気絶しそうになったくらいである。思わずこう口走っていた。
じゃあなんでさっき言わないんだよ!
山君の返事を待たず、僕は即電話を切った。そして学食へ向った。
オバチャン!カツカレー!
――――――
5分後。
ゴチサマシター!
そう叫んで食器を返したとき、嘘のように怒りは収まっていた。さっきまで「間違いなく山君が100%悪い」と思っていた自分が怖かった。
END