一泣き中

祭囃子が聞こえてきたのでなんとなく外に出た。軽快な祭囃子である。憂鬱な祭囃子はないと思うが。
裏道に出て100メートルほど坂を上がったところに神社があり大きな御神木がある。そこの周りをおどるひとたち。屋台が6軒ほど。生ビールを1つ買って、しばらく眺めた。
踊りに混ざりたかったが、ちゃんとした規則があるようで、一致しない動きの中にもあるタイミングで全員が揃って同じ動きをとっていた。地元民ではないぼくには踊れない。屋台の女の子に、「これ踊れる?」と尋ねたら、「わたしよくわからないんです」と大げさなリアクションが返ってきた。ぼくはほんの僅かだけ首をすくめたと思う。なんとなく肩でリズムを取り、ビールをもう1つもらった。
「ここの人じゃないんですか?」
「うん新潟なの」ぼくはこたえる。
「新潟・・・」
リトアニア共和国、と言っても同じようなリアクションが返ってきたかもしれない。


会津三泣き」という言葉がある。故郷を離れて一泣き、会津人の優しさに二泣き、会津を離れて三泣きというわけだ。
いつ新潟に帰れるのだろう。また、二泣きはやってくるのだろうか。しくしく。