外食

いつものイタリアンでビールとパスタを頼むと、まずビールがやってくる。そして、パスタが来る前に、いつも小さなパンをもらう。その時必ず、
「料理が来るまで、こちらをお召し上がりになってお待ちください」
と言って置いていく。

しかしこの間は、
「一口ばかりですが、料理が来るまでこちらをお召し上がりになってお待ちください」
と言って置いていった。はじめて見る人だった。

今までの経験から、一口ばかり、というのが彼女のアドリブだろうというのが判断できて、サービスを受けているなあ、という感じがした。
この店に始めて来て、パンを出してもらったとき、気の効いたことをしてくれるな、と思ったが、しだいに何も感じなくなった。何度も経験するうちに、システムの一部分にしか思わなくなったからだろう。それが、今回ひと言加わっただけで、とても良い気分になれた。

美味しい料理にそれなりの対価を払う、ということだけではプラスマイナスゼロだが、今回はこちらがプラスになった。また、サービス次第では、マイナスになることもあるだろう。
なんだか偉そうなことを言っているが、こういうことを考えたら、外食する時は気分も買っているのだなと、久しぶりに意識したという話だ。