猫とハムスター(一部怪談、一部涙)

うちの実家では猫を飼っている。元は野良猫だったのを拾ってきたものだ。その時ばあちゃんは文句を言いながらも、甲斐甲斐しく世話をした。
家に連れてきて2日目、「ノミだらけだ」ということで、猫を風呂に入れることになった。ばあちゃんは、暴れる猫を、頭だけ出して無理矢理、浴槽へつけた。
すると、白い猫の顔が、だんだん黒くなってきたのである。「なんだ?」とよく見て見ると、ノミだった。
ノミが全部顔に逃げてきたのだ。
顔中、ぴょんぴょん、ノミだらけ。・・・のあああーっ!!ぽつぷつ・・・(鳥肌)。
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この頃、ハムスターも飼い出した。それまでばあちゃんがペット反対だったせいでずっと何も飼えなかったが、猫を飼ったことで勢いがついたのだろう(こののち、なし崩し的にウサギと犬も飼うことになる。めちゃくちゃである)。
飼いだして2年目の冬に、動かなくなったハムスターを母が生ゴミ入れに捨てた事がある。ぼくと弟が、ハムスターの死骸をみてショックを受けないように、という配慮だったようだ。
この日、学校から帰ってきたぼくは、ハムスターが居ないことにすぐに気付き、母に「ハムスターはどこへ行った?」と尋ねた。「死んだから捨てた」と言われた時は頭にきた。ぼくは泣きながら生ゴミ入れを漁って、なんとかハムスターを探し出した。動かないので初めは死んでいるかと思ったが、しばらくすると手足がぴくぴく動き出した。ただ冬眠していただけだったのである。
この日、ぼくに遅れて学校から帰ってきた弟は、この話を聞いただけで「なんてことを・・・」と泣いていた。
3年目、ハムスターは老衰で死んだ。最期は体がぶよぶよになり、もうどうしようもない、という感じであった。徹夜で看取り、次の日の朝に裏庭に埋めた。
夜中に1人で、ぶよぶよになったハムスターの僅かに上下する胸を見ながら、「どうして死んでしまうのだろう・・・」
「なぜこんな場所で、1人で、苦しんで、何も言わないで、二度と動かなくなるなんて、そんなことって―――」そればっかりが、頭の中でぐるぐる回った。
夜も朝も涙が止まらなかった。学校へは遅刻したが、この日は母も何も言わなかった。
母には、「また飼うか?」と聞かれたが、それは到底考えられいことだった。その時のぼくは、もうわかったから、もういいから、と思っていた。
でも、なぜ死んでしまうのか、まだわからない。ぼくにとってハムスターの死は、いつまでも納得できないものなのかもしれない。納得できる死なんて、ないかもしれないが。