Kobae Ending

こばえとの決着がつきつつある。完全降伏させるには至らなかったものの、なんとかこちらの勝利で幕を閉じることができそうだ。
こばえとの戦いを続けるにつれ、いくらここがぼくの家とはいえ、ここまで定着したものに対して情けをかけないわけにはいかない、という思いがでてきた。だから、あちら側にも一定の権利を認めることにした。
そもそも、あちらはいずれ朽ちる身である(ぼくも朽ちるが、たぶんあちらよりはまだずっと後だ)。そう思うと、少の間なんだからいいか、と思える。
彼らには水周りを住処として与えた。具体的には、台所のシンクがそれになる。これにより、ぼくは料理が出来なくなったが、そこは我慢することにした。飯は外で買えば良い。そして、リビングや手洗い場やお風呂がぼくの権利として使えるならば、何の問題もないと思った。
だが忘れていた。彼らは心をもたぬものであった。
こばえは、権利の住み分けを無視し、ぼくの生活圏にまで進行してきたのだ。料理が出来ないのは我慢するが、食事ができないのは我慢できない。
和平を構想していたぼくの心に再び怒りが燃え上がった。戦いの火種をいくつつくれば気が済むのか。あいつらは、どこまで欲深いのか。いくら増えれば気が済むのか。
早く寒くなって欲しい(まさか越冬しないだろうが、不安だ)。