お腹いっぱいの時に、「これ食べる?」と言ってくる人の心理


自分の話である。
もうお腹いっぱいの人に向かって、今から自分が食べようとしているおいしいもの(肉など)を見せ、
「これ食べる?」
と心にも無いことを言うことがあるのだ。


これは、価値のあるものを危険に晒してみたい、という心理だろう。
例えば小学校の頃、校舎の屋上からランドセルを落とすフリをしてとてもどきどきした。おいしいもの(肉など)を食べさせようとするのも、このどきどきが欲しくて、「安全の範囲内」で大事なものを危険に晒しているのである。


どきどきが足りなくなると、「安全の範囲内」はどんどん広がっていく。はじめはランドセルを突き出すだけでどきどきしていたのに、それに慣れると、こんどは実際に落としたりするのだ。行為のエスカレートである。
だが不思議なことに、おいしいものを人に食べさせようとする行為はなかなかエスカレートしない。食べさせるフリをするのがエスカレートして、実際に食べさせてしまうということがないのだ。ぼくの中で、自分のおいしいものが誰かに食べられてしまうという行為があまりに危険すぎるのかもしれない。
何度やっても、もしかしたら食べるとか言うんじゃないだろうな、とどきどきするのである。