献血

生れて初めて献血をした。駅のわきに献血バスが止まっていて、そのバスの入り口で「A型大ピンチ!」の板を掲げているおじさんを見たのだ。僕の脳はそれを見て、血液がピンチになることはきっとないので、血が不足していることでピンチが生じるという意味なのだなと機敏に察知した。
いつもなら献血バスは間違いなく素通りするのだが、なんとなくこのままアパートに帰るのもためらわれていた時だったし、しかしやることは特にないという時だだった。それに加えて自分の血液型がピンチ(足りない!)というシチュエーションであったので、ついふらふらと献血バスのほうへ歩いていってしまったのだ。そして「ここにお座りください。献血カードはお持ちですか?」の問いに「いえ、初めてです」と答えたのである。そこからはもう、流れに身を任せた。
「1年以内に不特定多数の異性と性的交渉を持ったことがある」人は献血ができないらしい。と、唐突に思い出したことを脈絡なく書いてみた。箇条書きである。
とにかく、まずは、血液型の検査をしなくてはいけない。僕はA型と書いたのだが、専門の人に本当にA型かどうかを確認してもらわなければならない。検査の結果、僕はやっぱりA型だった。ここで、「ほらっ、僕の言ったとおりA型でしょ!信用してないんだからもう!」というのは幼稚だと思う。もちろん僕は言わなかった。かわりに左右の眉毛をクイッと動かしただけである。
そのあとはベッドに横になり、腕に針をさして、400mlの血液が袋に溜まるのを待つ。人は1600mlの血液を失うと生死にかかわるということなので、その四分の一が取られるわけだ。まちがって四回とられたらたまらないので、眠いけどちゃんと起きていた。フー。
続きはあとにした。続き↓
どうも血を抜かれたせいか、力が続かない。僕はもうだめかもしれない。それならいっそう死ぬ前に書き残さなくてはいけないことが沢山あるので、がんばって書こうという気になってきた。ぞっ!
とにかく無事に、400mlの血液を抜いてもらって、紙パックのアクエリアス250mlをもらった。
献血をしたら水分をたくさんとらなくてはいけないということなので、特に咽は渇いていなかったけど、帰りの電車でもらったアクエリアスを全部飲んだ。そしてその後、家でおしっこが沢山出た。飲んだ分がそのままぜんぶションベンになったんじゃないかと心配になったので、一応水をコップ一杯ほど飲んでおいた。ちゃんと吸収して血になってくれないとさっきの分を取り戻せないからな。と、書いているうちに尿意だ。これを我慢したら身体に吸収されるんだろうか。