おやじの話は後で書くとして、ラーメン屋から200メートル先にある駅までミドリ君を見送る。
「若いカップルが多かったですね」
「そうだ、boy meets girlsって、ありきたりな恋物語って意味らしいよ。男の子と女の子が出会えばだいたい恋が生れるからだって。転じてありきたりなこと全般に使われるらしいけどね。これ知ったのは昨日のネプリーグっていう番組でなんだけどね」
「無理やり情報の出所を明かさなくていいです。テレビはどうせ見てませんし」
「まぁそうだね。言うのはただのの保険なんだけどさ」
「どうせ半年もしたら自分の知識のように語るんですから」
電車がくるまであと30分もあるが、恋人ではないのでそれを一緒に待つなんてことはしない。ぼくが「それじゃあ」と言って駅から出るまでに、ミドリ君は椅子に座って本の世界に入っていた。僕が振り返ったから、それが見えた。もちろん彼女はこちらを見ない。

徒歩で、おやじの家へ向う。自転車は2日前に盗まれてしまった。でも僕の行動範囲はほとんど1キロ圏内で収まってしまうので、それほど必要なものでもない。本当に必要だったら、鍵をかけただろう。もちろん自転車も正規に購入して。拾った自転車なのでいつ盗まれたっていいと思っていたが、実際盗まれるとがっくりくるものである。だが、2日目にして慣れてしまった。やはり慣れとはありがたいものだ。どうも、考えていることがめちゃくちゃである。いや、めちゃくちゃではないはずなのだが、このように文にして提示するとめちゃくちゃである。いや、本来考え自体がめちゃくちゃでない必要など無いのだから、こっちの方もめちゃくちゃで当たり前かもしれない。歩いている途中で頭の中に浮かぶことなどに論理性を求める方がどうかしているので、これでいいことにする。
やはりおやじの家へいくのだが、また明日以降に書く事にした。このごろ本当に、時間が足りない。無駄にしている分を何とかしたらいいとは思うのだが。一度読んだ本をまた読み返すという芸当は、テスト前にしかなし得ないことだと思う。恐るべき無駄パワー。