私は、昨日、酔っていた。加速度的に私の中で、オセロのように理性君がひっくり返されていった。盤面が理性君の裏の「本能君」ばかりになっていたとき、1つだけ残されていた理性君が「時間を気にするように」と忠告をくれた。そのおかげで終電に乗ることができたのだ。ありがとう理性君。その理性君は角にいて、裏返ることが無い。彼だけは、ぎりぎりのところで私に忠告をくれるのだ。
 電車の中でこんなやり取りを聞いた。夢かもしれない。
 「私は、汚い字で書いてあるものを読もうと思えません。なんていうか、生理的にだめなんです。みなさんもそうじゃないですか?字が汚かったとしても、その内容が素晴らしかったとしたら、実にもったいないですよね。だから私は字を練習して、人並みに書けるようになりました。これなら、字が汚いことで私の文が読まれないことは無いですよね。さっき言った悲劇は防げるのです。ところで、私は、整形したんです。顔が汚いというだけで、私の内面を見てもらえなかったら、損じゃありませんか?」
これを聞かされた相手はなんと言ったのだろうか。憶えてない。私はこの人に反論する言葉をもたない。やりたかったらやればいいと思うだけだ。