ぽっぽ焼きの価値は

仕事の後、同僚と近場の公園へ、ちょっとした花見に行った。屋台がでていたのでそれが夕飯。おやつはぽっぽ焼きだ。ぽっぽ焼きとは黒砂糖の入った細長い蒸しパンのようなもので、新潟県でも下越だけで売っているそうだ。ぼくはずっと下越にいるので知らなかった。
公園の端には鹿がいた。目の粗い網だったので、そこからぽっぽ焼きを出してやると、すごい勢いでぱくついてきた。
ふと横を見ると(じつはふとではないが)、OL三人組がいたので、ぽっぽ焼きを1本わけてあげたら、すごく感謝された。しばらくすると、小さい男の子と若い母親がやってきて、母親の方が「何かあげれるものないかな」と自分の荷物を探り出した。あげれるものがなかなか見つからないようなので、その親子にもぽっぽ焼きを1本与えた。ここでも丁寧な感謝がかえってきた。
ぽっぽ焼きはおいしいだけではない。鹿やOLや子連れとも触れ合える。
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余談だが、同僚はぼくのフレンドリーさに驚いていた。「普段と違う」そうだ。別に、フレンドリーなのではない。ぼくは鹿にぽっぽ焼きをあげるのが楽しかったので、こんな楽しい事をしないのはかわいそうだと思っただけである。つい、鹿に餌をあげてしまうように、つい、人にぽっぽ焼きをあげてしまったのである。