寝るだけさ

宿題もやったし歯も磨いたし、後は寝るだけさ、という時の気分は最高だ。これはきっと、早く意識を失ってしまいたいからなのだ。
僕が酒を飲んだりするのも、きっとそのためだろう。覚醒している状態から抜けて、自分でなくなってしまいたいのだ。何も判断できず、何も認識できない状態になってしまいたいのだ。これはともすると(「ともすると」は、ともしやすい事に使われることがともするとよくある)、死にたい、という欲求にもなってしまいそうなのだが、今のところなっていない。寝る事や酒を飲む事は気持ちのよい事として意識下で学習してくれているが、死ぬ事は学習していないからだろうか。たとえ理屈でそれが意識を失うことだとわかっていても、「だから死にたいなぁな」どとは、ちょっとは思うかもしれないが、僕は実際にしたりはしない。だが、「永遠の無意識」を求めてそっちの方へ行くという人がいることからしても、人はそれを選ぶ事があるということなので、僕はそうならないように寝ることや酒を飲む事や、他の我を忘れられる事にてだましだましやっていこうと思う。だましだましということは、これらは死ぬ事への代替行為だと言う事になる。もちろんそう認識している僕にとってだが。ということは僕には死にたいという欲求があるということになるが、ただ今自分に聞いてみたところ、そういう欲求は無いとの事。どうやらまたなにかがずれているようだが、僕自身がずれた奴だとしたらそれも仕方がないので修正をせずこれにて日記とさせていただく。
(「〜とさせていただく」と念を押すと、本来〜となり得ないものであっても〜となってしまうのですごいと思う。「以上をもって挨拶とさせていただきます」などとシメに言われようものなら、前に何を言ったとしてもそれは挨拶になってしまう。しかし、挨拶とはただ「こんにちわ」と言うだけの意味しかないかといったら大間違いである。だから挨拶とさせていただくことは別に悪くないのである。このように、自分でめちゃくちゃな前提をたてておいてそれを覆すというやり方はよくやられるのである)

あいさつ 1 【▼挨▼拶】


(名)スル
[一]
(1)人と人とが出会ったときや、別れるときに交わす儀礼的な動作や言葉。また、その言葉を述べること。相手に敬意・親愛の意を示す行為で、対人関係を円満にし、社会生活を円滑にする。
「初対面の人と―する」「時候の―」「―を返す」
(2)公の席や舞台などで、大勢の人に向かって祝いやお礼などの気持ちを述べる言葉。
「披露宴で―する」「就任の―」
(3)受け答え。応対。返答。
「手紙をやったのに何の―もない」「あのようにけんもほろろでは―のしようもない」
(4)儀礼的な通知。
「―状」
(5)(「御挨拶」の形で)あきれた言いざま。
→ごあいさつ
(6)「仕返し」をいう不良仲間の隠語。
「あとで―に行くからな」
[二]
(1)禅宗で、門下の僧と問答をして悟りの程度を知ること。
(2)二人の仲。交際。関係。
「二郎兵衛殿とおきさ殿―見ればうら山しうて堪らぬ/浄瑠璃・今宮心中(中)」
(3)仲介。仲裁。調停。また、その人。
「さう見受ましたから―に這入りました/歌舞伎・お染久松色読販」
〔「挨」も「拶」も押すことで、押し合う意から。もと禅宗用語で、[二](1)が原義〕
――切・る
関係を絶つ。縁が切れる。
「今は―・れた上/浄瑠璃・重井筒(中)」



三省堂提供「大辞林 第二版」より

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(6)「仕返し」をいう不良仲間の隠語。
「あとで―に行くからな」


不良仲間て。